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2023(令和5)年12月12日(火)に実施した「障害者ケア論Ⅱ」の授業では、重度障害者の 中村 薫 さんにご講義いただきました。
中村さんは、NPO法人文福で障害者部会長をされています。小学校から高校卒業まで、石川県で過ごされました。当時、富山県には、中村さんの障害の程度で入れる学校がなかったとのことです。その後、富山に戻り、施設に入所された後、ご両親のおられる自宅に戻られ、今は富山市で一人暮らしをされています。
講義は、健康福祉学科長の中島教授とのトーク形式で行われました。中村さんが小学4年生の子どもたちに話す機会があったときのこと。質問コーナーで、ある児童から、「障害者に生まれてきて良かったと思う事は何ですか?」と聞かれたエピソードを話されました。中村さんはかなり考えて、次のように回答されたそうです。
「そうですね、障害者に生まれて良かった事はですね、
私は障害が重いので自分では身の回りの事は何一つできません。
人に関わってもらわないと生きていけません。
ですから大勢の人に関わってもらい、今まで生きてきました。
大勢の人に出会えたのは、 私が重度の障害者だったからだと思っています。
この大勢の方々から色んな事を学びました。
ですので、この大勢の方々との出会いは、私の心の中の宝石だと思っています。
これからもこの心の中の宝石を大事にして生きていこうと思っています。
これが障害者として生まれてきて良かったと思う事です。」
非常に深いお話で、中村さんにとって、良い出会いばかりではなかったと思いますが、人との出会いを良い出会いに変えているのは、中村さんご自身の物の見方や考え方によるものだと思います。そんな中村さんの生き方に、学生たちは耳を傾けていました。
その後、手がつかえないので足を使ってスマートフォンやパソコンを操作されている時の写真、絵が好きな中村さんが描かれた絵をご紹介いただきました。
最後に、中村さんは学生へのメッセージとして次の言葉を述べられました。
私は本当に大勢の方に介助してもらい生きています。
感謝の気持ちを忘れた事はありません。
皆さんに一つだけお願いがあります。
それは、この学校を卒業されて、
どこかの介護施設、あるいはどこかのヘルパー事業所で働かれるようになられた時には、
介護者のペースで利用者の介護をするのではなく、
利用者一人一人に寄り添い、利用者の気持ちに耳を傾け、
利用者の気持ちを尊重し支援して下さい。
一利用者、私からのお願いです。
皆さん、良き支援者になられるのを願って、私の話しを終わります。
中村さんの一言一言に、これまで生きてこられた人生の重みと生きる希望、中村さんのポジティブな考えがにじみ出ていました。
・【R5魅力アップ授業④】生活支援技術Ⅲ 視覚障害者の方のケアについて学ぶ
・【R5魅力アップ授業⑤】生活支援技術Ⅴ 介護ロボット・ICTに取組む先進施設を見学!
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