2024(令和6)年6月25日(木)、1・2年合同で「認知症と共に生きる」をテーマに、若年性認知症の当事者である丹野智文氏から、若年性認知症と診断されてからの体験や思いをお話しいただきました。
丹野氏のお話は、認知症と診断される前の気づき、「おかしいな」から始まり、認知症にはなったけれど、家族と過ごす時間が増え、たくさんの優しさにふれられたこと。認知症イコール終わりではないことに気づき、認知症になったことを悔やむのではなく、認知症と共に生きるという道を知り、今の活動に繋がっているという内容でした。
丹野氏のいきいきとした話し方に引き込まれた時間となりました。
また、お話の後に対話形式の質疑応答の時間もありました。学生の質問に自分の経験をもとに、笑顔で朗らかにわかりやすく答えてくださり、また助言を下さいました。特にスマートフォンのアプリの使い方を詳しく教えていただき、視点を変えて工夫することの大切さを学ぶ機会になりました。
認知症になってもその人らしく生きるために周囲ができることは何かを考える、とても有意義な時間になりました。
丹野智文氏
39歳のときに若年性アルツハイマー型認知症と診断されましたが、診断後は営業職から事務職に異動し、勤務を続けながら、不安を持っているご本人のためのもの忘れ総合相談窓口「おれんじドア」実行委員会代表を務めておられます。自らの経験を語る講演活動は年間100回以上行われ、認知症とともに笑顔で生きる姿は2023年に映画「オレンジランプ」として全国で上映されました。
<学生の言葉>
1年生
- 認知症の方にとって自分のしたいことを制限されることは、とてもストレスに感じていると思いました。時間はかかっても待ってあげること、失敗してももう一度挑戦してもらうこと、そして失敗で終わらせないで成功体験で終わらせることでその人の自信につながるということがわかりました。
- もし、家族や周りの人が認知症になったとしても、当事者の方が楽しいと思えるような環境づくりを心がけたいと感じました。病気への理解と当事者へのちょっとした応対のあり方の大切さをすごく感じました。
- 私はこれから認知症の方と関わる際、認知症という偏見にとらわれず、目の前の人を見て対応したいと思いました。そして、その人の機会を奪うことは、認知症の方にとって生きる希望を奪うことになると学んだので、必ず覚えておきたいです。
- 会社に自分のできること、できないことを伝え、毎日笑顔で仕事を頑張ることで、誰かに希望と元気を与えていたという話がとても印象に残りました。会社で他の人に認められるために努力をしていた丹野さんの「頑張ろう」という気持ちがとても素晴らしいと思いました。
2年生
- 丹野さん自身の意見で、「認知症当事者は、いくつ歳をとっても羞恥心は変わらずある」や、「認知症当事者から携帯電話や財布など、今まで普通に使っていたものは奪わないでほしい」という言葉が心に残りました。周りの環境がとにかく大事だということを理解することができました。
- 認知症のある人に対する周りの接し方次第で、本人の人生が変わるのだと気づきました。
- 上司に呼ばれ、仕事ができないことを言われるのかと思っていた時に、「毎日笑顔で来てくれてありがとう」と励ましの言葉をかけてもらった話がすごいと思いました。そんな言葉をかけられる人になりたいと思ったし、言葉をかけてもらえるよう頑張れる人にもなりたいと思いました。