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私たち人間の身体の中にはどのような構造があり、それらの構造にはどのような働きがあるのでしょうか。人間の身体の仕組みに対する理解を深めるため、食物栄養学科では「解剖生理学」と「解剖生理学実験」という二つの授業科目を開講しています。
2年次前期の授業「解剖生理学実験」では、実際に体験して身体の仕組みを学ぶことに主眼を置いています。人間の身体には、いざ試してみないと気づかない、不思議な働きがたくさん隠されています。実際に体験した現象から「何故そんなことが起こるのか?」に疑問を持ってもらうことが、この授業の目的です。
2023(令和5)年5月23日(火)、この日は、皮膚の触覚や痛覚を受容する触点や痛点が、身体の場所によって分布が異なることを実験で調べました。皮膚の下には触覚の受容器や痛覚の受容器が埋まっており、この受容器が刺激を受けてその情報が脳に送られると「触られた」「痛い」などの感覚が発生します。このため、細い毛で受容器が無い場所を刺激すると、何も感じないのです。
実験では、人差し指の先端と掌、ふくらはぎの三箇所に格子模様をスタンプし、1mm間隔で皮膚の表面を毛で刺激しました。人差し指の先端では、どの点で刺激しても触覚や痛覚を感じる人が多いのに対し、ふくらはぎでは、刺激された点によっては触覚も痛覚も感じない場所がある人が多いようでした。これは、触覚の受容器や痛覚の受容器は身体の場所によって分布する数に違いがあり、人差し指の先端には受容器がとても密に分布しているのに対し、ふくらはぎでは受容器が疎らに分布しているためです。学生は「自分のふくらはぎがそんなに鈍感なことを初めて知った」と驚きながらデータをまとめていました。
一つの体験から、今まで知らなかった自分の身体の様々な仕組みが明らかになっていきます。学生は、自分で体験した不思議な現象について自主的に調べ、その仕組みを理解しようと努力していました。
自分で発見した疑問を解決する道筋を自分で組み立て、自主的な学習を通じて自分なりに考える力は、学生の皆さんが将来社会に出て、職場で経験する様々な問題を解決するためにも重要なスキルになります。どんなことにも興味を持って、疑問を考える力を養うことができる授業を、今後も進めていきます。
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