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私たち人間の身体の中にはどのような構造があり、それらの構造にはどのような働きがあるのでしょうか。人間の身体の仕組みに対する理解を深めるため、食物栄養学科では「解剖生理学」と「解剖生理学実験」という二つの授業科目を開講しています。
そのうち今回は、2年次前期に開講している「解剖生理学実験」の授業をご紹介します。
この授業は、実際に体験して身体の仕組みを学ぶことに主眼を置いています。人間の身体には、いざ試してみないと気づかない、不思議な働きがたくさん隠されています。実際に体験した現象から、「何故そんなことが起こるのか?」に疑問を持ってもらうことが、この授業の目的です。
2022(令和4)年6月7日(火)、13日(月)に行った実験では、腕に分布する正中神経という末梢神経に電圧刺激を加え、その時に起こる現象を体験しました。正中神経は肘の周囲で浅い場所を走行しているため、肘の二箇所に電極を置いて電圧刺激を与えると、正中神経を人工的に刺激することができます。電圧が弱い時は、肘の周囲だけにピリピリした感覚がありますが、電圧を少しずつ強くしていくと、ピリピリした感覚が手首のあたりまで広がり、やがて指先にまで感じるようになります。さらに電圧を強くすると(70V程度、人体に悪影響はありません)、指先が自分の意志とは関係なく曲がるようになります。自分の指が勝手に曲がる様子に、学生は「何故そんな事が起こったのか?」と驚いていました。
では、人差し指や中指が曲がる時、どこの筋肉が動いているでしょうか? 学生は指を曲げながら自分の手や腕を触り、前腕部が動いていることに気づいていました。「前腕部の筋肉が動くのに、どうして指が曲がるのか?」。一つの体験から、今まで知らなかった自分の身体の様々な仕組みが明らかとなり、学生は、自分で体験した不思議な現象について自主的に調べ、その仕組みを理解しようと努力していました。
自分で発見した疑問を解決する道筋を自分で組み立て、自主的な学習を通じて自分なりに考える力は、学生の皆さんが将来社会に出て、職場で経験する様々な問題を解決するためにも重要なスキルになります。
どんなことにも興味を持って、疑問を考える力を養うことができる授業を、今後も進めていきたいと思います。
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